皮膚筋炎/間質性肺炎 抗MDA5抗体の奇跡的回復

膠原病→皮膚筋炎→間質性肺炎→最悪の急速進行性間質性肺炎 MDA5→余命宣告30日→奇跡的回復で退院 これまでの経緯をまとめました

悪魔の「抗MDA5抗体」(入院5~8日目)

確定 急速進行性間質肺炎

 

看護士から妻を除いて、私と医師との面談を行ないたいと連絡が入る。気にかけていた血液検査のことだなとすぐに察し、不安を抱きながら、そして心の中で何度も何度も悪い結果でないことを祈りながら。

 

ドアを開け席に着き主治医より発せられた第一声が

「違うことを望んでいましたがやっぱり急速進行性間質肺炎でした」

「この病気は確実にかなり重篤な症状になります。しかも急速に悪化し短期間で4人に3人は亡くなります。」

その後も次々に耳を塞いでしまいたい、この場から消えてしまいたいほどの残酷な時間が数分ありました。

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私は涙をこらえるのが精一杯で言葉を出すことが出来ませんでした


私は医師との面談の際、後になっての曖昧な記憶が嫌いでしたので、出来る限りスマホボイスレコーダーで録音していました。その内容を確認しながら退院までの数回の面談を、録音記録として記載していきます。

(以下、医師との会話の録音記録より抜粋)

通常の間質性肺炎は悪くなる速度が数年かけながら緩やかだが、この急速進行性間質性肺炎MDA5は非常に進行が速く、極端なことを言えば昨日はあまり悪くなかったのに、今日は急に悪くなり呼吸が苦しくなる。早ければ数週間、長くても数ヶ月でほとんどの方が亡くなってしまう。

 

私が助かった方はいらっしゃらないですか?との質問には

いらっしゃいますよ。退院して在宅酸素療法の方や、酸素無しで退院された方もいます。
そのような返答があり暗闇に一縷の望みを抱いたのもつかの間、見せられた血液検査結果の数値がまさかの測定範囲を超えた測定不能!最悪のMDA5の中でも最悪のようです。

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医師は全力を上げて治療に励むとおっしゃっていましたが、雰囲気からは、気のせいか半ば諦め状態が感じ取られました

 

MDA-5抗体)は、ごく最近(2年位前)検査が出来るようになった。それ以前はこの抗体の存在を知らず膠原病科ではなく呼吸器科で肺炎の治療しか行なわず、かなりの人がただの肺炎と思われながら命を落とした

MDA5ではない通常の間質性肺炎の症状が軽い人はステロイドのみで症状を抑えられる可能性があり、悪くても免疫抑制剤抗がん剤で抑えられる可能性がある。しかしMDA5はまず薬の効果は期待できない

私の「薬が効かないのですか?」との質問には、

薬の効果はありますが、病気の方が強いため進行を食い止めることが困難で肺はどんどん悪くなり呼吸が出来なくなります。と返ってきました

私(医師)から患者本人(妻)には「肺炎で重症になる人もいる」とは言ってありますが、今後行なっていく非常に強い治療に持ちこたえる気力が落ちないために「薬の効果が無いとか、死亡率がかなり高い」とは言ってありません

以上のような話がありました。

まさに奈落の底に突き落とされた気分でしたが、まさかこの後何度も、奈落どころか地獄の釜に叩き込まれることになるとは、この時は知る由もありませんでした。

 


■急速進行性間質肺炎(抗MDA5抗体)とは■

 
通常の間質性肺炎は数年かけて呼吸困難などを徐々に進行させますが、急速進行性間質肺炎は名称どおり短期間に呼吸が苦しくなり数週間~数ヶ月で命を落とす可能性の高い病

抗MDA5抗体陽性患者は典型的な皮疹を有することが多いが,中でも手掌にみられる逆ゴットロン徴候は比較的特徴的で,頻度も高い。抗MDA5抗体でみられる皮疹は,紫斑に近い紫色~紫紅色調で斑状を呈することが多い。皮膚潰瘍の頻度も高い。一般的に,筋症状は欠くかあるいは乏しいことが多いが,筋症状を有することもある

急速進行型間質性肺炎の予後はきわめて悪く,進行した段階ではあらゆる治療に抵抗するため,早期からステロイド,シクロホスファミド,タクロリムスなどを併用した強力な免疫抑制療法により治療することが必要である



f:id:shiramitsu:20180412134658p:plain  容態報告/入院5日目

酸素流量 1L

SpO2=平均91%

食欲〇睡眠◎元気◎

容態詳細

幸いなことに3日間行なったステロイドの副作用はほとんど出ませんでした

キャリーカーに酸素ボンベを乗せてフロアを1周歩く程度のリハビリが始る。歩行中特に息苦しさは感じられずキビキビとした歩き方。

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酸素流量 1L

SpO2=平均91%

食欲〇睡眠〇元気〇

容態詳細

本日も肺に関しては特に目立った異常は無し。

唇の斜め下に、まるで虫に刺されたような大きさで、ぷくっと盛り上がりのある紅班が出来る

痛み、かゆみ無し
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酸素流量 2L

SpO2=平均93%

食欲〇睡眠◎元気△

容態詳細

前日は安静時酸素1Lで93%ほどあったが今日は91%まで落ちたため2Lに増加する

体がだるい

ステロイドの副作用として血糖値の上昇が考えられるので検査を毎食前に実施することになる。今回の結果257のためメトグルコの服用開始

 

■メトグルコとは■

 
作用

筋肉での糖利用を促進したり、肝臓で糖をつくるのを抑制したりして血液中の糖(血糖値)を減らします。 通常、2型糖尿病の治療に用いられます。

副作用

下痢、吐き気、発疹、かゆみ、食欲不振、腹痛など
 

 

f:id:shiramitsu:20180412134654p:plain 容態報告/入院8日目

酸素流量 2L

SpO2=平均93%

食欲〇睡眠◎元気△

容態詳細

酸素流量は前日と変わらず

新たに関節、爪周辺に皮膚筋炎症状
爪周辺、痛みあり(触れると痛い) 関節は痛みなし

今頃になって副作用が出たのか2日間ずっと体がだるい

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このページのまとめ

検査結果は最悪の急速進行性間質肺炎と確定。

しかも(MDA-5抗体)測定範囲の数値150を超えた測定不能

治療方針として、さらなる肺の悪化が認められた場合、即座に猛烈な薬剤療法を開始する。 妻の体力、気力がどこまで持つかが心配される

ステロイドパルスを行なったにもかかわらず、新たに2箇所の皮膚筋炎の症状が出たことに私は不安を抱く